珪藻土壁


14、5年前になるでしょうか…。

母から、私と妹に「壁に珪藻土を塗るから来てちょうだい。」と、集合がかかりました。


珪藻土って?

今でこそ、珪藻土の効果は誰もが知るようになり、様々な小物にまで利用されるようになりましたが、その頃は、「珪藻土?なんだかよく分からないけど、壁に塗るって、そんな無茶な…。」と、恐る恐る実家に行ったものです。


珪藻土は自然が生み出した鉱物。無数の微細な孔(穴)を持ち、呼吸をしていることで室内の空気を清潔に保ちます。また、調湿性能に優れているという点で壁材としては優秀…


と、いうことを知るや否や、DIY用にバケツいっぱいの練った珪藻土とコテなどの左官道具を貸し出してくれる店を見つけ出し予約したという、良くも悪くも即断即決即行動の母。


なるべく雑に

要望は「綺麗に塗らないで」とのこと。…うん、まあどのようにしたいか想像はできる。だけど、突然、片手にコテ、片手に珪藻土の乗ったコテ板を持たされても、左官工事なんて初めてのこと。

最初だけプロに要領を教わり、「あら、案外楽しい!」などと、無我夢中に塗り進め、照明を避けながら天井まで行きつくころには首も痛くなってクタクタに。どうにか、母、妹、私…三者三様の壁が出来上がりました。


あえて「雑に」など意識せずとも、そもそも綺麗に塗ることなどできやしなくて、その方がかえって良いというのが、DIYですよね。ね?(笑)


↑所々が、当然素人っぽいけど、それはそれで味がある。なにより、思い出として残ったことが嬉しいものです。


珪藻土壁の魅力

珪藻土の壁は、効用はさることながら、陰影が本当に素敵。

その陰影が古い家に趣をあたえ、母のしつらえるインテリアのベースになりました。この家を訪れる人が、うわぁ…と居心地の良さを感じてくださる一因となったのではないかしら。


その後、苦労はしたものの珪藻土に魅せられた妹も私も、自宅リビングには珪藻土を施工しています。


朽ちてもよい

塗ってから14、5年も経てば、壁は所々黒ずんだり、剥げ落ちてしまったり。ですが、それも味わいになるから不思議なもの。自然素材は、人工的なものに比べて耐久性は劣るものの、朽ちていく姿が美しいと母は常々言います。


ですが、リノベーションで壁も一新。今度は職人さんが珪藻土を塗ってくださいます。一抹の寂しさはありますが…また、どんな趣を醸してくれるのか期待しています。


ナチュピット

やりたいことが溢れてる…86歳母の日々